36年目のリニューアル レストランは皆で造るもの



 丸正食堂として佐土原町に生まれ今年36年目を迎えた「丸正」がオーナーも変わり「ビストロ丸正」として10月1日にリニューアルオープンした。店内もモダンな造りになっていて、早くも満員で入れない時がある人気店になっている。
 これからも、懐石料理やオードブル、お弁当にいたるまで地域に根ざし、貢献できる商売を行なうと話す新生「丸正」のオーナーシェフに話を聞いた。

「もの心ついたときには包丁を握っていました」と語るのは「Bistro丸正」オーナー金原公一氏(写真左下42歳)。
 丸正は佐土原町で36年間続いている日本料理の老舗である。「妻の実家である丸正の歴史を汚すことなく地域に貢献しながら新しい味を皆さんに提供できれば」とオーナーは抱負を語る。

 オーナーは19歳の時、東京で料理の道を歩み始めた。東京渋谷にある「東友クラブ」に勤めた金原氏は才覚を発揮し24歳の若さでチーフになるという異例の出世をした。「若くして地位を手に入れてしまうと天狗になってしまいますよね、それでなくても、僕たちの年代はバブルの申し子として例えられます。当時は就職活動もあまり苦労をせず、欲しいものは簡単に何でも手に入るような今では考えられない時代でした。そんな世の中を生きてきたせいか、自分自身の考えもあまく、我慢という言葉を知らないような人間でした。だから一人前に24歳で料理を極めたとでも思っていた。大きな勘違いですよね」と当時を振り返る。その後、宮崎に戻り宮崎観光ホテルの洋食で4年間程働いた後、宮崎市のレストラン「フォレストパーク」の料理長になった。ここでもいろいろな工夫をした料理が噂を呼び、一躍人気店になり売上げは倍増した。「人を驚かせるのが大好きでしたね。今では普通になりましたがデザートを8種類ぐらい一つのお皿に盛り合わせたりして、何か変わったことをして目を惹いて、味はもちろんですがそれより演出に凝ってましたね。東京時代に輪をかけて天狗になりました」と言う。10年以上前の話である。そんなオーナーの考えもある出会いをきっかけに少しずつ変化していった。

 当時の丸正のおかみさん(義母)からうちの店で働いてくれないかとの話があり承諾。その後6年間丸正で働くことになる。和食と出会い、魚のさばき方などを一からおかみさんに習った。和食との出会いでオーナーの料理はまた一段と広がりを見せるのだが、それ以上にここで知り合ったおかみさんの娘さんとの出会いがオーナーの料理に対する考えを大きく変えた。奥様の美帆さんである。「年を重ねてわかる部分もありますが、レストランは美味しい料理を出すのは当たり前なんですよね。お店につくお客さん、人につくお客さんもいます。それはいろいろなんです。お店のスタッフが全員で力を合わせて一つのレストランができているんです。これまでは美味しい料理さえ出していればいいんだと考えていました。俺の料理に人が集まっているんだとさえ思うところがあったんですよ。間違いに気付かせてくれたのはホールを担当している妻です」。美帆さんは永年ホテルで働いていた接客業のプロなのである。「美味しい料理があってそれを運ぶホールのスタッフがいてはじめて『お料理』なんです」と美帆さんは言う。オーナーは結婚前に奥様が勤めていたホテルの副社長からもらった言葉がある。「彼女とそのまわりの家族は君の助けにきっとなるよ」この言葉が今では身にしみてわかるそうだ。

 これまではオープンのために忙しく、商品開発など十分に出来ていないという。「これからゆっくり時間をつくって新商品などを考えたいですね。それと子どもとも全然遊んでいないので早く時間をつくらないといけませんね」と語る。

 小学生の頃から病弱の母の為に包丁を握り夕飯を支度していた。今でも包丁を握って家族の生活を支えている。「スタッフに恵まれたからこそわざわざ遠い所から丸正まで食べに来てくれるお客様がいるんです。自分1人では何もできなかった。みんなのおかげです。そしてなにより妻がいたからこそ今も頑張って仕事ができていると思います。妻は最高のパートナーです」とオーナーは丸正のオープンテラスで笑った。平成20年11月24日掲載


■店舗情報
ビストロ丸正
住所:宮崎市佐土原町東上那珂14585-10
TEL:0985(74)0181
営業時間:ランチ午前11時から午後3時(ラストオーダー午後2時30分)   ディナー午後5時から午後10時(ラストオーダー午後9時30分)
席数:
URL:
備考:0985(74)0181

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